森がつなぐ5つの心 ―“あなた”のはなし

長い道のりを進んできた一行は、夕暮れの森にたどり着いた。
黄金色の光が木々を透かし、鳥たちが帰り道を告げる声が響く。
その中で、精霊たちは円を描くように腰を下ろした。
そこに座る席は、5人分……ではなく、ひとつ余っている。
「さぁ、“あなた”の席だよ!」
ハルメがにこりと笑って言う。

それぞれが見せてくれたもの
この旅で出会った5人の精霊たち。
- フユカ は、怒りの奥に隠された「正しさを求める心」を見せてくれた。
- カヤノ は、不安を抱えながらも一歩踏み出す勇気を教えてくれた。
- ジン は、怠けることの中に「心を充電する力」があると気づかせてくれた。
- リリル は、完璧さに縛られず「欠けた部分こそ美しい」と示してくれた。
- ハルメ は、笑顔の裏に隠された本当の気持ちを打ち明ける強さを見せてくれた。
そして、彼らと共に歩んだことで浮かび上がったのは——
どの心も、実は“あなた”の中にも息づいている、ということ。
森が与えてくれるもの
リリルが小枝を集め、ジンが火を起こす。
ふわりと漂うサンダルウッドとミルラの香りが、炎とともに夜を温める。
カヤノは不安そうに見ていたが、すぐに安心した表情に変わる。
フユカは「少し焦げすぎよ」と口をとがらせながらも、結局は楽しげだ。
ハルメは歌うように話しながら、場を明るく照らす。
5人のやりとりはまるで森そのもののように、
静けさとざわめき、光と影、欠けと満ちを織り交ぜて、調和されていく。
あなたも、この輪の中で
その光景を見て、フユカがあなたに問いかける。
「ねぇ、あなたはどんな心を抱えてここに来たの?」
ジンは笑って、隣の苔をぽんぽんと叩く。
「まぁ座れよ。ここなら、どんな気持ちでも歓迎されるぜ。」
カヤノは少し恥ずかしそうに、でも真剣な眼差しで言う。
「弱さを見せても、きっと大丈夫だよ。」
リリルは優雅に微笑む。
「欠けを恐れる必要はないわ。そのままのあなたが美しいのだから。」
ハルメは目を輝かせて叫ぶ。
「ようこそ、心の森へ!」
あなたへのメッセージ
この森の旅は、精霊たちの物語であると同時に、あなた自身の物語です。
怒りも、不安も、怠けも、完璧さへのこだわりも、明るさの裏の涙も。
それらはすべて、排除すべきものではなく、あなたの一部として寄り添ってくれる存在。
もしこれからの日々で、自分の心に迷ったときは、
この森を、そして5人の精霊たちを思い出してください。
きっと彼らは、あなたの隣で静かに微笑んでいるはずです。
森の旅はこれからも続きます。
次の章では、それぞれの精霊たちがさらに深いテーマへと誘ってくれるでしょう。
🍀次回:「心の森のさらに奥へ —— 第二章のはじまり」
